最近は規制も強化されてきて、運転中にスマホでゲームやSNSなどに夢中になって、交通事故を起こしてしまうような報道自体は減ってきました。
しかし、そんなニュースをたまに見るたびに、運転中にスマホをいじってばかりいるような人が、きちんと保険に入っていたのだろうかと思ってしまいます。
今回は自動車保険について、どのような保険に加入するのが良いのか、実例を踏まえて考えてみたいと思います。
ランキングで比較してはダメなのか?
通常ランキングで注目しているポイントは、以下のような項目になっているものが多いでしょう。
- 価格や割引
- 事故受付体制
- ロードサービスの規模や内容
- その他口コミなど
口コミについては、交通事故を何度も経験している人は少ないので、どの程度信頼できるのか、客観性があるのか、判断が難しい部分もあります。
なお、ネットでのランキングは、その掲載サイトの意向が、反映していることも多々ありますので、自分でよく吟味する必要があります。
つまり、ランキングは一つの要素と考えるべきです。
強制保険(自賠責保険)があるけれど……
そのように言われる人もいるとは思いますが、自賠責保険の保障範囲や対象が、よくわかっていない人がいるかもしれません。
一度、ここでさらっと触れておきましょう。
自賠責保険は対人賠償
事故に合わせてしまった”人間”に対しての賠償であって、自動車車両など対物の賠償ではありません。
補償(限度額)
- 死亡 3000万円
- ケガ 120万円
後遺障害は後遺障害の程度に応じた等級によって
- 75万円~4000万円
もし止まっている自動車に追突してしまった場合は、交通事故を起こしてしまった加害者が、相手(被害者)の車両を加害者自身で賠償する必要があります。
実際にあったケースを見てみる
登場人物 Aさん:被害者、Bさん:加害者(事故を起こした人)
Aさんは車で外出し、ゆるい下り坂道の先にある信号が赤なので、ゆっくり普通に停車しました。
すると、停車した車が後ろから激しい衝撃を受け、Aさんは前の車にそのまま激突してしまいました。
ゆるい下り坂道なので、Aさんは赤信号でブレーキを踏んだままでしたが、結果的に多重追突事故になってしまいました。
加害者は自賠責保険しか加入していなかった
先程の事故の状況で、加害者は任意保険に入っていませんでした。
Aさんには過失が全くありませんので、Aさんが追突してしまった車についても、すべて発端の加害者が賠償責任を負います。
そのため、この事故は、被害者が10人程度、被害車両は3台(4台の事故)で、相当額の賠償が必要ですが、対人賠償は自賠責保険で対応できても、車両などへの賠償はどうにもなりません。
最初加害者も、低姿勢で対応していましたが、後日Aさんの見積もりを見ると、対応がかわり色々と言い出して、話がスムーズに進みません。
通常、任意保険に入っていれば、保険会社の事故担当が交渉にあたりますから、賠償金額に不満があっても、話は進みます。
また、Aさんには何の過失もないので、Aさんが加入している任意保険の会社の事故担当もでてきません。
弁護士費用特約が役に立つ
この事故の加害者からの賠償は、車両が含まれるため賠償額が大きく、話が全く進まない状況になってしまいました。
そんなとき、Aさんは保険代理店から「弁護士費用特約」を使う提案を受け、弁護士に事故の対応をしてもらうことになりました。
ちなみに、弁護士費用特約は、使ってしまっても、自分の保険に傷がつきません(次年度以降の保険料割増になりません)。
つまり、自動車保険にこの特約を付帯していれば、使った方が得ということです。
早速、Aさんは弁護士に依頼し、車両とケガの治療費を請求しました。
しかも、ケガや後遺症の賠償額算出に使う基準が”弁護士基準”となり、最も高額の賠償レベルになりますので、願ったりかなったりです。
そして、後日スムーズにお金が振り込まれ賠償してもらえました。
後日談
Aさんの賠償が済んだ頃、警察から電話があり、「他の被害者から、加害者の対応が悪く悪質だと訴えがあり、警察がそれぞれの被害者に状況確認したい」ということでした。
Aさんの賠償は、無事終了した旨を伝えたところ、警察の人が驚いていたとのことです。
他の被害者は、話が全然進まず、いら立って警察へ連絡したわけですので、Aさんがすでに完了したと聞いて、「???」となってしまったわけです。
弁護士費用特約は費用対効果が大きい
弁護士費用特約の限度額は通常300万円。
そして、保険料としては、それぞれ人や会社によりますが、大体年間数千円程度です。
仮に年間1500円として、20歳で免許を取って、60歳まで運転したとして、約40年払い続けて6万円程度の出費になります。
交通事故の賠償における弁護士費用は、通常はザックリとですが、60万~100万程度になるようですので、一度でも使えば、十分元が取れます。
もし使わなくても、安心感を得られます。
ただし、使えるのは…今回のAさんのようなケースで、自分に過失がないため、自分の保険会社は示談代行してくれないので、交渉が難航することが多々あり、このようなときに利用できます。
また、自身が車に乗っていなく歩行中の交通事故など、賠償してもらう相手が車両なら使える可能性がありますので、加入や更新時には調べておきましょう。
自動車保険は便利で役に立つ特約も忘れずに
任意保険は費用やロードサービスだけではなく、特約も考えて加入しましょう。
今回の事例のように、任意保険は加害者ではなく”被害者”になっても必要になることがあります。
また、個人賠償責任保険の特約なども使い勝手の良いものであり、自動車保険に付帯することで、更新忘れもなく色々なリスクに対応できたりします。
なお、個人賠償責任保険については、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
自動車保険は特約にも注目して考える
ランキングはあくまでも一つの要素です。
強制保険(自賠責保険)があるけれど……
対人賠償で、自動車車両など対物の保証ではありません。
任意保険の特約は役に立つものがある
弁護士費用特約は、使ってしまっても、自分の保険が次年度以降の保険料割増になりません。
ケガや後遺症の賠償額算出に使う基準が”弁護士基準”となり、高額の賠償額レベルになります。
弁護士費用特約を付帯すると、増える保険料は概ね年間数千円程度。
※いつでもどこでも使えるわけではありません(保険会社に要確認)。
個人賠償責任保険の特約は、自動車保険に付帯することで、更新忘れもなく色々なリスクに対応。
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